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2020.08.07

今なぜ、海外支社を設立するのか?フォーデジットの海外展開ビジョン

昨年、タイ・バンコクに子会社を設立したフォーデジットが、今回ベトナム・ホーチミンに2つ目の海外支社を設立しました。コロナ禍の今、なぜ東南アジア進出のセカンドステップを踏み出したのか?今後の海外展開のビジョンとは?フォーデジットの海外展開を担う3名に、語ってもらいました。

田口 亮 - Ryo TAGUCHI

フォーデジット
代表取締役 COO

末成 武大 - Takehiro SUENARI

フォーデジット タイ
代表取締役CEO

西村 康宏 - Yasuhiro NISHIMURA

フォーデジット ベトナム
代表取締役CEO

ベトナムを選んだ理由は「マーケット」と「人」

ー 初めに、次の展開としてベトナムという国を選んだ理由を教えてください。

 

末成:最初のきっかけは2015年頃、NTTデータベトナムさんと取り組んだある案件です。日本の教育系クライアントのWebサイトで、数十万件あるコンテンツをコンバートする…というもの。僕自身もベトナムに半年間滞在して一緒に仕事をしました。

その時の現地メンバーの貪欲に理解する、真面目にやりきるという姿勢が好印象で、プロジェクトを終了した後も一緒に仕事をしたいと思ったんです。そこで、当時から僕たちが力を入れていたフロントエンド実装を、ラボ型でコラボレーションすることにしました。ホーチミンと東京を常時オンライン接続してナレッジの共有をしたり、フォーデジットの新卒研修をホーチミンで実施したり。一緒に成長していこうと、実験的な試みにも積極的に取り組んでいきました。

 

西村:私はその頃、まだフォーデジットにいないですね…(笑)。私の初めてのベトナムとの接点は、前職のNTTデータ時代。大手企業向けのスマートフォンアプリ開発で、ベトナムにあるNTTデータグループ会社のエンジニア達と一緒になったことです。その時のプロジェクトメンバーもみな若くて本当に熱心。目をキラキラ輝かせてスキルアップに励んでいましたね。

 

田口:フォーデジットとしては、その後もベトナムの大手食品企業のDXプロジェクトや、不動産コンテンツ生産体制のベトナム移管、エンジニアメンバーのベトナム駐在…など案件の内外で、ベトナムの人たちとは継続的なリレーションがありました。ですから今回の子会社設立も突然のベトナムというわけではなく、僕たちにとっては自然な流れの中で次のステップを踏み出した感じです。

フォーデジット COO 田口

田口:現地のマーケットが成長を続けているということも大きいです。日本ではすでに行き渡っているサービスやシステムを、東南アジアでは新しく作るという段階なので、そこに最新の技術を投入できる。日本のようにすでに出来上がっているものを変えていくのは大変で、新しく生み出す方が安くて早いという面もあります。そこにデジタルデザインの需要があると感じました。
でも何よりの決め手は、やっぱり 「人」ですね。

 

末成:ベトナムへ行って仕事をすると、みんなベトナムが大好きになって帰ってくるんです。「なんかベトナムいいよね、みんないいヤツだよね」と(笑)。

 

田口:そう、「いいヤツ」たちと一緒に仕事をしていきたいと思ったのが決め手です。プロジェクトベースではなかなか継続的に仕事をする関係というのは作れないので、遠隔でやるのではなく、ちゃんと現地に会社を設立しようということになったんです。

 

ー ベトナムのデジタルテクノロジー、またクリエイティブの状況は、日本とどのような違いがありますか?

 

西村:スマホ中心のインターネット・テクノロジー浸透度は日本と大差ないですが、企業や社会、物流インフラでのデジタル活用は日本の5〜10年前くらいの状況という印象です。ベトナムは経済成長が著しく、これまで日系企業各社が投資してきた工場だけでなく、製造・流通業界でも内需拡大への投資が加速しています。IT、コンサルティング業界もそれに合わせて本腰を入れてアクションしている状況ですね。

クリエイティブ面では、デザインを志望する若者が増えていますが、ブランディングも含め包括的にデザインを行える企業はまだ少ない。UXデザインまで踏み込んだプロジェクトは、現状ではほとんどないのではないでしょうか。ただ新商品・新サービスへの投資意欲は高いため、フォーデジットの強みの一つであるリサーチやフロントエンド開発については、大手企業のニーズがありそうです。

 

ー 決め手の一つでもあった「人」にはどんな特徴がありますか?

 

西村:エンジニアの質が非常に高い。ベトナムは国策としてIT産業を推進していて、若く優秀なエンジニアがたくさんいます。一方で、デザイナーはまだこれからという段階だと感じます。

実際にジョインしてくれたメンバーは、英語もしくは日本語が堪能であることを採用条件としているので、欧州や日系のスタートアップやIT企業での経験者が多いですね。年齢層は20代後半が主力、成長意欲がとても高く、日本で暮らした経験のある人もいます。

 

末成:今、世界中のZ世代の約4割が東南アジア諸国にいるんですよね。ベトナムも人口ピラミッドを見ると20代後半〜30代前半がボリュームゾーン。

 

田口:若い人たちのエネルギーも魅力です。国が成長しているので、彼らはみんな将来に希望を持っている。現在の日本にはないテンションというか、伸びていくエネルギーをホーチミンの街からも感じます。

オフショア目線ではなく仲間として繋がるのがフォーデジットらしさ

ー 最初の海外法人となったフォーデジット タイの設立から1年が経とうとしています。どのようにプロジェクトを進めているのでしょう。

 

末成:言い方は悪いかもしれませんが、喧嘩スタイルです(笑)。日本のチームと現地のチームで、これまでやってきたプロセスや考え方の違いがあり、それぞれにプライドがあるので、当然ぶつかり合いはあって。もちろんそれは建設的なぶつかり合いですし、今はそういう時期だということをお互いに認識しています。良いものを作りたいからぶつかるのであって、クリエイティブにこだわる以上必要だし、むしろ良いことだと思っています。

 

ー 現地スタッフとフラットな関係性を築くために、意識していることはありますか?

 

末成:そもそも僕たち、いわゆる「オフショア開発」的なやり方ができないんだと思う。

フォーデジット タイ CEO 末成

田口:デザインの仕事は「フレームワークを作ってそれが売れればいい」ということではありません。何かを生み出していくときには、相手のカルチャーや共通するバックボーンに共感できる人たちが成果を出すのが正しい姿で、その視点がないとデザインの活動は形だけのものになってしまいます。作り手には本当の生活やカルチャー、バックボーンをちゃんと心で理解する人たちであってほしいので、そういう意味で日本の僕らが現地のユーザーへ考え方や価値観をを押し付けても価値がないんです。
プロセスやナレッジなど、僕らが現地のメンバーにインプットできることはもちろんあると思うし、プロジェクトを成功させる上ではディスカッションは絶対に必要ですが、最終的には現地にいるメンバーがバリューを生み出していくべきだと思っています。

 

ー 実際にタイでプロジェクトに取り組み始め、気付いたことや学んだことはありますか?

 

末成:ギャップが常にあるので、それは全部学びになっているし、すごく面白いと思っています。プロジェクトの初めには現地のユーザー理解から入るので、僕らには見えていなかった普通の暮らしが見える。それは別にタイ、ベトナムに限らず日本でも多分同じで、新しい発見がある仕事に携われるのはすごく刺激的です。

 

田口:会社に対するカルチャーにも学ぶものがあります。例えばオフィスで夕食を一緒に食べるのは彼らにとっては普通で、メンバー同士の関係性が家族のように近いですね。一方で帰るのは早くて、仕事が終わるとさっと帰る。働くスタイルが日本とちょっと違っていて面白いです。

 

西村:ベトナムでもチームの関係性や仲間意識というのがすごく大事で。というのもキャリアアップのために転職する人が日本よりずっと多い。社員に定着してもらうために居心地の良い場所にしていく工夫が必要なんです。

なぜ今、このコロナ禍の中でベトナム進出を決めたのか

ー 同じ東南アジアで距離的にも近いタイとベトナムで、大きく違う点は何ですか。

 

末成:マーケットのニーズにギャップがあると思います。タイはデジタルテクノロジーのビジネスが成熟期に入って、デザイン的な付加価値が求められる状況にありますが、ベトナムは新しく物を作っている段階。急速に伸びているので、今このタイミングで入っておけば、成熟期にデザインのニーズが上がってきたときにその波を捕まえることができるんじゃないかと。今のタイミングで設立したのはそういう意図もあります。

 

田口:設立を決めたのが2019年9月頃。それから年内に何度か渡航し、2020年4月には設立できそうだという算段でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、ここまで延期になってしまいました。

ー コロナ禍の最中のスタートになるわけですが、なぜその判断をしたのですか?

 

田口:お話ししている通りマーケットがあるというのは前提になりますが、コロナでベトナムから引き揚げていく企業が多い中で、フォーデジットとしてはコロナによるダメージをさほど受けていない、ということがあります。それに元々、日本の成長が鈍化している中で、東南アジアは成長している、という状況だったのが、今回コロナによってむしろその差が大きくなっている。信頼できるメンバーもいて、チャレンジできる土壌が揃っている中でやらない選択肢はないと。

 

西村:現在の経済状況を見ると、コロナの影響下でも唯一今年のGDP成長率が下がらないのがベトナムと見込まれています。これまで10年近く6〜7%と大幅に伸び続けていて、今年も下がっても3〜4%程度の伸びになるという予想が発表されています。また、多くの外資系企業が撤退する中で人材が市場に流出しているため、優秀な人材が集まってくれるチャンスでもあります。

 

末成:もしオフショア開発という目線だったら、今の状況ではコストメリットはなくなりますし、仕事の供給率も下がるので、引き上げざるを得ないでしょう。でも僕たちはマーケットを切り開きにいくわけだから、伸びているマーケットにいかない理由はない。

 

田口:もちろん今は渡航制限もあり、プロジェクトが思うように進まない面はありますが、それで待っていても仕方がない。今、踏み込むべきだと判断しました。

期待に応え、東南アジアでしっかりと実績を作っていきたい

ー フォーデジット ベトナムの展望をお聞かせください。

 

西村:ありがたいことに、設立前にしてすでにベトナムの製造業・流通業の大手企業からオファーをいただいています。フォーデジットの日本での実績もあってそうした引き合いはいただけているので、一つひとつしっかり応えていきたいです。

またベトナムでは、これまでデジタルテクノロジー活用がされていなかったからこそ、先進国が歩んできた段階的発展を経ず、いきなり先端テクノロジーを使ってダイナミックに発展する「リープフロッグ」現象が起きる可能性がある。実際にベトナムローカル企業の中にはAIを活用して目覚ましい活躍をしているスタートアップがあります。そこに私達は「デザイン」という価値を付加していきたい。

ベトナムでは最新テクノロジーを使いこなすエンジニアは、他の職業より高給でモテるんです。私達はテクノロジーだけじゃない「Design×Tech」をブランド化していく。エンジニアだけでなく、デザイナーの地位を向上・モテる化していくつもりです!(笑)

フォーデジット ベトナム CEO 西村

ー 最後に、フォーデジットの今後の海外展開についてお聞かせください。

 

田口:まずはチャレンジなので、ポジティブに一歩を踏み出すということが大事だと考えています。最終的には、僕らがきちんと作ったものが評価されていけばいいので、それを貫くことを重視しています。海外事業としてペイするかというのはまだ先の話で、すぐには答えが出ませんが、僕たちの価値は発揮していけると思っています。

 

末成:現地でご一緒するパートナーの中にはずっと前からグローバルで戦っている日本企業もいて、そこから多くを学べるし、諸先輩方からすごく手厚くサポートいただけてありがたいです。長い間、それこそ高度成長期からあらゆる産業で、日本の先輩企業が作ってくれた印象というのは本当に大きくて。

 

田口:そのおかげで現地の人たちが僕たちをポジティブに受け入れてくれるという面もある。そういう時代を作ってきてくれたことにすごく感謝しています。いただいたチャンスを仕事を通じてきちんと皆さんに返していくことで、各国のフォーデジットは成長していけると思います。

 

西村:デザインにおいて、自分と異なる考え方・文化の理解やコミュニケーション能力は非常に重要で、それを養うのに海外横断のプロジェクトは最適です。ベトナムに長期滞在した若手エンジニアが、半年後国際プロジェクトをリードできる自信に満ち溢れた人材に成長して帰ってきたことも。東京、大阪、バンコク、ホーチミン各地域のフォーデジットメンバーが交流しながらプロジェクトを実行することで、個々人の能力の向上も目指します。

 

田口:マレーシアをはじめ、他のアジア諸国への展開も視野に入れています。大きなマーケットをターゲットとしたときに、そこでものが作れないと意味がないので、まずはアジア全体でデリバリーする力=ものを作る力をつけていくのがファーストステップだと思っています。成熟したデザイナーが育って、デザインという考え方自体の価値を国内外で浸透させていきたいですね。

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